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High Top or Low #1

この歳になると「あまり履かないんだよね」とか「大体履くのはブーツか革靴かな」とか「服装に合わなくて履かない」なんて言われる機会もちらほらあったりするんです。そのたびに心の中でこう囁くの。
(現役バリバリで履きまくっててスニーカーしか持っていない私は一体…)と。

はい。前置きはこのくらいにして今回はスニーカーと音楽、というかスニーカーとヒップホップについて自分なりに感じていることを書こう!と思ったので軽い感じで見ていただけると幸いです。

まずは何と言ってもこれです。

My Adidas / RUN-DMC

RUN DMC の adidas ファッションはヒップホップを聴いてない方々でもなんとなくは目にしているはず。この adidas のスーパスター(あのシューレース全部外して履くやり方、真似したはいいけど歩けるのか?って誰しも思ったよね!)をはじめ、80年代の当時は puma のスウェードなんかもストリート界隈では人気だったみたいです。なんだか今とあまり変わってない気が。それほどあのデザインが普遍的で格好良いものなんでしょうね。

そこから日本にもヒップホップがやってきてもちろんスニーカー文化も一緒に流行ることになるんですが有名なのはやはりこれでしょう!

証言 / LAMP EYE

ここの5番でまさに”証言”している通り毎日磨くもんなんですよ。スニーカーは。なぜかって?それはね。ラッパーの方々が有名になって自慢するものと言えばお金、女性、車、アクセサリーなどがありますがその中にファッションがあるのももちろんのこと。綺麗なスニーカーを履いている→いつも新品身につけている俺→金回りがいいんだぜみたいな感覚で。だから皆履いているのは、ひたすらにピカピカ。本当に超人気でいつも新品履けている人達は良いけど、それに憧れてるだけの僕みたいな一般素人の端くれみたいな奴は必死こいて磨いてるんです、家で。それで憧れのアイツに近づこうとしてるんです….. 悲しくなってきたな。頑張ろう。

前向きになれた(?)ところで話を戻すと、スニーカーのことについてラップしてる曲は他にもあって色々紹介したいんですが、長くなってしまうので最近の曲で自分の中でおっ!ってなったのがこれ。

They Call Me Super Star / KOHH

この中で「スーパースターに憧れてコンバースをボロボロにしていた」ってあります。ここで言うスーパースターって文字通りの意味もあるけどやっぱり先述した RUN DMC が履いていた adidas のアレにもかけてるよね?(なにわかりきったことを。って思ってる方!心の奥にしまっておいて。)しかもここでコンバースを出してくるところがまた良い。皆が一度はお世話になってるコンバース。この言葉がすごい距離の詰めかたしてくれてる。あれ?自分と変わらないかも。もしかして自分も頑張ればああなれるかもって思わせちゃう。絶妙なブランドの対比だなぁ。

ということで、とりあえずこんな感じかな。次もまたお楽しみに。

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Spirit of the Golden Juice #1, Modern Times Beer – Orderville

ビール。ひとりで飲むビール。友達と飲むビール。ソファに寝転びながら飲むビール。広いシネコンの客席でひとりぼっちで飲むビール。暑い日にベランダで飲むぬるくなったビール。かじかむ手で夜道を踏みしめながら飲むビール。あんなビール、そんなビールと音楽の話。

いつの間にか、昼は暑いくらいの陽気になってきた。いつもなら公園のベンチで缶ビールを飲んでいるところだが最近はそうもいかない。
ウィルスの不安には耐えられるけれども、それによって顕になった色々な事がどうしても頭を重くして、この陽気すら残酷に感じてしまう。
こんな日ばかりはただただ呆けてビールを片手に時計を眺めているに限る。

Modern Times Beer – Orderville

カリフォルニア州サンディエゴのブリュワリーからの一本。
最近は流行りも落ち着いてきたHazy IPA。流行を意識したのか”Dank”の表記は”Hazy”に変更になったらしい。
“Hazy”とは濁ったビールの見た目を指していて、”Dank”というのはマリファナのような風味を表すスラング。
モザイク、シムコーをはじめとした6種類のホップが使われたフルーティな香り。一口飲めば爽やかな甘みと香りが広がって、優しい苦味が鼻を抜ける。溶けてしまいそうな体がそのままソファにずぶずぶ沈んでいうようなリラックス感が楽しめる。

Girls In The Grass / Steve Hiett

ファッション誌の写真家としてキャリアをスタートし、Jimi HendrixやThe Doors、Miles Davisなど著名アーティストもカメラに収めてきた彼の唯一作『渚にて…』。そのリイシューに併せて発売された彼の未発表音源。

風通しのいいギターの音色は陽の光を浴びているような心地よさがあるけれど、空虚なリズムと共に浮かび上がる風景の海岸や街並には香りや遠鳴りすらもミュートされたような”不在”を強く感じさせる。あるべきものがそこにない、不穏なチリチリとした静けさは、今この状況におかれた街が見せた表情と重なって、ジャケットに添えられた少女達の写真のようにその世界に閉じ込められてしまいそうな、いっそそこに閉じ込められてしまいたいような、そんな気持ちにもなってくる。

エコーの靄の中に吸い込まれるような酩酊感と不安に寄りそってくれるようなビールの香りがあいまって、頭をもたげていたものを少し軽くしてくれるような気がする。
この黄金色のジュースが明日、心を燃やす血の一滴になりますように。

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FEMDOM ARTの巨星 春川ナミオ永逝

2020年4月24日 FEMDOM ARTの巨星春川ナミオがこの世を去った。病気療養中であると話はきいていたが克服されると信じていたし、まさかこの日がこんなにも早く訪れるとは思ってもいなかった。

春川は半世紀以上にも渡ってフェティシズムや男性マゾヒズムのファンタジーを繊細な鉛筆画で表現し続けた。SM雑誌挿絵やSMアダルトビデオの表紙などに多数起用され、マニアックなファンからの支持はもとより、現在では美術界、世界中のアートコレクターやミュージシャンを熱狂させるほどである。FEMDOM (Female Dominant) ARTのとして紹介されることが多く、そのフェミニズムとの親和性も近年の再評価につながった要因の一つかもしれない。マドンナが彼の作品を所有しているのは有名な話だが、春川が世界のカルチャーに与えた影響とその功績は大きい。2016年にEric Wareheimが監督した Blonde Redhead のミュージックビデオ ‘Dripping’ で、春川作品の世界観や構図が大々的に取り入れらたのは記憶に新しい。

Dripping / Blonde Redhead

はじめて春川ナミオの作品を目にした時の衝撃を筆者は今も忘れることができない。見てはいけない物をみたような気がして目を背けたくなった。しかし描かれている内容と反比例するように絵肌はとても上品で、少しシュールなユーモアがあちこちに散りばめられている。穏やかな/無表情に見える豊満な体型の女性、対照的に男性は極端に小さく貧相に描かれ、背景はどこかのっぺりとしていて、まるで舞台セットのようでもある。その強烈で不可思議な春川の世界にすぐ魅了された。このマニアックな作品が多くの人に愛されるのも、エロティック/フェティッシュの枠を超えた春川ナミオ自身の人柄や思想が作品ににじみ出ているからなのかもしれない。

ひたすらファンタジーと向き合い、無数の作品を世に残した偉大な作家に敬意を評したい。心よりご冥福をお祈りします。