FYOC最近のお気に入り。ニューリリース&少し旧譜もあり、夏の終わりにどうぞ。Spotifyプレイリストのリンクはページ 最下部 にあります。
1. Slauson Malone – Smile #6(see page 198 and 158)
Standing On The Corner創設メンバーの1人、Slauson Malone こと Jasper Marsalis。「A Quiet Farewell 2016 – 2018」以来となるNew EP「Vergangenheitsbewältigung (Crater Speak)」からの1曲。アルバム全編を通してアブストラクトなフォーキー・コラージュ・アルバム。「Some Rap Songs」の流れを感じる前作からはまたスタイルを変えジャンルの枠を超えるエクレクティックな傑作です。
STOCの「Angel」「Get Out」と聞き比べると2人が袂を分かった訳が分かるようで何だか切ない。
2. redveil – campbell
冒頭のギターサンプルのふくよかな音たるや….
redveilはメリーランド州出身の若干16歳のビートメーカー&ラッパー。この曲はニューアルバム「niagara」の1曲目、やっぱりearlを想起させます(特にsome rap songsのRiot!)。どんだけearlばっかいってんだと思われると思いますがそのくらい重要な作品だっだと思うんです、あのアルバム以降以前で作品の語られ方が変わるような。そういえばearlが「Doris」をだしたのも16の時だった、これからが楽しみな人です。
3. Lizette & Quevin – Talk To Me
分かる人には分かる。このスカスカなバンド・サウンドと絶妙に物足りないヴォーカルによるトワイライトな世界。素晴らしいヴィンテージソウルを量産し続けるレーベルBig Crownからのニューソング。いつでも時代錯誤な音楽を奏で続ける人がいるのは頼もしくもあると感じる今日この頃、何の変哲もない良い曲。
4. Anna McClellan – Pace of the Universe
オマハ出身、ニューヨークを拠点に活動するシンガーソングライターによる3枚目となるフルアルバム「I SAW FIRST LIGHT」からの1曲。インディロックやらローファイなんて言葉はもう死後。でもここで鳴らされている音や歌はいま他の何とも似ていなくて久しぶりにハッとしました。どういう声に持ち主がどんな風に歌うのかというのは本当に大事、そういう意味ではダニエル・ジョンストンなんか思い出したりもします。
5. drea the vibe dealer – Sunshine in the Shadow
シカゴを拠点に活動するソングライターdrea the vibe dealerによる2019年楽曲。90年代R&B~トリップホップ的なエッセンスを感じるトラックに絶妙にいなたいヴォーカル。バンドサウンドの比重が多いトラックも古臭くなくSZA以降を感じられる新鮮なサウンド。2020年リリースのEP「Triple Goddess」も良い。
6. VRITRA – NEURINS
Matt Martians(The Internet)とのユニットThe Jet Age Of Tomorrowでの活動でも知られるオッドフューチャーの才人Vritra。もたついて汚されたビートに耳持ってかれてるとあっという間に終わる、ドープなトラック。
7. Puma Blue – Velvet Leaves
サウスロンドンはまだ燃えているのか。Live音源を除けば実に2年ぶりとなる待望の新曲。装飾の少ないインディR&Bといった趣きは相変わらず、イギリスらしい平熱感とヴォーカルが気持ち良し。
8. ミツメ – トニック・ラブ
新機軸は夏の夜にハマるミツメ流エキゾギターポップ。ギターロックを下敷きにアンビエント〜バレアリックな雰囲気を漂わせつつあくまでポップなのが最高。歌詞の世界観はもはやヴェイパーウェイヴ。
9. Meitei – Oiran Ⅱ
広島のサウンドアーティスト冥丁によるニューソング。ピッチフォークでは”The Best Experimental Albums”にも選ばれたアンビエントの傑作だった前作からモードチェンジ。そのまま舐達麻がラップしそうな哀愁と叙情を感じるトラックに。これもまた”Lost Japanese Mood”のひとつのスタイルということ。
10. Michele Mercure – Beginning
アメリカの女性アニメーター、電子音楽家Michele Mercure。1983年〜1990年にリリースのカセット作品4作品からRVNGがコンパイルしたアルバムから。マシンビートとアナログシンセを中心に据え、チープ・エレクトロな楽曲からアンビエント、ブレードランナーさながらのサイファイ・シンセウェイヴにインダストアルまでかなり刺激的。2020年にはRVNGから新たなコンピも出てます。
11. Tvii Son – Simple Ends
LAPSが主宰するレーベルMICからリリース。キエフ発のインダストリアル・ダブ~レフトフィールドなテクノを鳴らす3人組によるデビュー作。ノイジーでインダストリーなビート+控えめなヴォーカルというアンバランスな魅力がやばい、ミュータント・エレクトロ・ダブ。
11. Kelly Lee Owens – Arpegi
ウェールズのソングライター/プロデューサー、2作目となるフルアルバムはレディオヘッドの理想的なカバーから始まる。同郷のジョン・ケイルが参加した「Corner of My Sky」ではディープなエレクトロニックバラードを聴かせ、氷の溶ける音をサンプリングしたフロアライクな「Melt!」は気候変動へのアンチテーゼか。
12. Moor Mother – Forever Industries A
とにかくあらゆる名義を使って出しつづけるムーア・マザー。サブポップからリリースの最新EPはスウェーデン出身のビートメイカー、Olof Melanderとの共作とMental Jewelryとの共作2曲。フューチャリスティック・エクスペリメンタル・ヒップホップ。
13. Phew – All That Vertigo
今年のベストに入るだろう傑作「Vertigo KO」収録曲。シンプルなエレクトロニクスと声を中心に作られた楽曲群は不穏と平穏を行き来して唐突に幕を閉じる。アルバムのメッセージは「なんてひどい世界、でも生き残ろう」。エレクトロニクスと声といえば同じくDisciplesのModel Homeにも通じるものがある、このレーベルは要チェック。
14. Tohji – Oreo
数年前だったら無しだったらサウンドが今はカッコいいのはよくあることでこの曲のトランシーなシンセもまさにそう。聴き方によっては初期Warp〜Aphexあたりのアンビエントなエッセンスも感じる夏の終わり系のチルトラック。「浜辺でやるOreo のむチェリオ」フロウのセンスは相変わらず天才的。
15. Anthony Moore – Stitch Time
Avant Popバンド”Slapp Happy”の創設者、アンソニー・ムーア。この曲は75年にリリース予定だったがお蔵入りになったロストアルバム「Out」からの一曲。ロック、プログレ、前衛、ポップ。そのどれでもあってどれでもない、なにかの外側にポツンと存在する音。「Out」は40年の時をこえて11月にDrag Cityからリリースされる。
16. Pixies – Wave of Mutilation (UK Surf)
「はちどり」も「ブックスマート」も良かったけどこの夏印象に残った1本は「mid90s」。Pharcydeのラストは勿論、90年代のHIPHOPクラシックがガンガンかかる音楽も最高。その中でもホームパーティーのシーンでかかったピクシーズのあえてこの曲。2020年的にはこっちのバージョンだよなって思いもあり。
17. Jonathan Richman – That Summer Feeling
祝「I,Jonathan」アナログリリース。どんなフォーマットで聴こうが勝手だろ、これ以上夏の終わりにぴったりな曲を知らない。ザットサマーフィーリン。