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Buck / Brainstory

そのドーナツの穴から静かに溢れ出たような暗闇で煌めく音。

Buck / Brainstory [ Big Crown ]
2020

ケヴィン&トニーのマーティン兄弟とドラムのエリックによるカリフォルニア州出身の三人組。ぱっと聴きSoulやJazzといった様々な音楽の影響を受けていそうだが、そのどれとも言えない音。

音楽というのがSoul、Jazz、Funk、Rock、Folk etc..に象られたドーナツだと想像して、そのドーナツの穴から静かに溢れ出たような暗闇で煌めく音。それはpsychedelicであり、ここ10年程のこうしたグループに共通して見られる音だ。
特にBrainstoryの場合は、ケヴィンの歌声による遠い乾いた視線と、全体のほんのり明るい雰囲気が相まって醸し出す愛らしさがとても素晴らしい。そのバンドサウンドはひたすら趣味がよく、例えばA-3 「Sorry」 では、コズミックなシンセ音によるワンショットリフ、ヴィンテージリズムボックスのようなピッピコトコトコのドラムセクション、さらに脇からパウワウギターが品良く愛嬌を添え、それらが仲間のように連れ立って揺れ進んでいく。
そして歌。全ての感情を投げ出してしまった後に残ったものだけで紡がれたメロディラインは、結局のところ立ち上がってあてもなく歩き続けるしかない現実に直面している人々の背中をそっと後押しして、ぐっと勇気付けてくれる。

Sorry / Brainstory
部屋の壁にはJohn Coltrane / Blue Trainのポスター
BrainstoryによるJohn Coltrane / Impressionsのカバー

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